古田の戯言

気が向いた時に

ワインの世界

※昼から飲んで気分が良くなったので筆を取ったということを念頭に入れて読んで欲しいです。


最近、僕の興味はワインに注がれている。大学在学中はワインと言えばメニューに白、赤としか書かれていないものを飲み会でデキャンタやグラスで頼む程度で、手軽に酔いの快楽に誘う醸造酒の一つに過ぎなかった。そんな僕がワインに目覚めたのには2つの理由がある。


1つめはレストランでのワインペアリング体験である。2月の卒業旅行でビールに焦点を絞り、ドイツ各地の醸造所のビールを飲み漁ったのだが、3ヶ国目のローマの1つ星レストランではせっかくだからという理由だけで、かなり背伸びをして1つ星レストランを予約した。生涯で間違いなく1食に費やす値段が最も高かった一夜であったが、さすがに素人の僕でも食の奥深さ、ワインの深淵とそれらのマリアージュをソムリエとシェフから感じ取ることができた。僕はこの夜、美味しいというよりかは、楽しいという感情に満たされた。ビールと揚げ物、日本酒と和食。そこに新たにワインと洋食という組み合わせの楽しさを知ることが出来た。料理とワインが提供される度に説明が入るのだが、その儀式のせいで、食事というよりかは芸術作品に向き合うような気持ちにさせられた。

6年ほどしか酒を嗜んでいない若者の戯言と取られるかもしれないが、ビールにはそういった繊細さはない。(もちろん、それがいい所ではある)。そして、日本酒に関しては(ここでは多くを語らないが)空気を読むという日本の文化や歴史的背景も相まって、中途半端な印象を受ける。しかし、ワインは違う。その繊細さや王侯貴族の歴史、種類の豊富さなど、こちらが中途半端な気持ちで臨めば圧倒されるほどのパワーやバラエティを秘めた世界が広がっていることを、その夜感じたのであった。

 


2つめは、彼女の実家で父親にもてなしてもらったことである。その日は僕にとってとにかくショックの大きな1日であったのだが、その1つがワインであった。ワインを慣れた手つきで抜栓し、よく分からない機材を駆使して注がれるワインを恐怖に感じた。酔いが進むにつれ、それは楽しさに変わっていくのではあるが、それに伴う所謂"ウンチク"と呼ばれるものが苦痛であった。何を言っているのか全く分からないし、なによりその味の偉大さが理解できない自分を恥じてしまった。


これら2つの経験、ワインの奥深さと未知な自分への悔しさが合わさって現在ワインの沼に足を沈めている次第である。ワインの魅力はもう一度言うが、その深淵さにある。中途半端な気持ちで臨めば圧倒される偉大さにある。だからこそ勉強が必要であり、経験が必要なのだ。造り手、天候、畑による違いは大工場で大量生産されるビールには無いものであるし、ソムリエのような存在がいない日本酒は料理とのマリアージュが中途半端で惜しいと感じる。


ワインは間違いなく生涯をかけて楽しめる1つの趣味となると思う。ブランド的な悪い面もあり、お金はかかってしまうが、その面白さは保証したい。

2/29 8日目 イタリア(ローマ)

ホテルの朝食にピラフがあったので取り分けてみた。久々に米を食べたが久しぶりな感じはしなかった。固いパンを気に入っていたこともあると思う。カリカリに焼かれたベーコンとソーセージを大量に取ってしまったために、出かけてからかなり喉がかわいてしまった。

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本日はローマ観光の王道ルートを攻めてみた。

まずはコロッセオ。塀部分に降り立った、人馴れしたウミネコやハトを横目に外周を一周した。猛獣を会場にエントリーするシステムを再現したものが映像で流れていたが、猛獣の代わりに犬を使っているのがおかしかった。

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その後、楽器を演奏するパフォーマー達を眺めつつ、フォロ・ロマーノを散策した。

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川沿いを歩きつつ、ジェラートや量り売りのローマピザを購入した。具がカラフルでとても楽しい。ローマピザの生地は固めでかなりしっかりしていた。日本では食べたことの無い食感であった。天気が非常に良く、街歩きには最適な天候であった。

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昼食はカルボナーラ発祥の店と言われる、ラ・カルボナーラに行った。中に入ると日本人が多かったのでテラス席を選んだ。前菜のトマトのブルスケッタのようなものが非常に美味しかった。メインのカルボナーラは味が濃いめだったが、流石発祥の店と言えるだろう。豚の頬肉の塩漬けであるグアンチャーレを用い、パスタもゴムホースのようなリガトーニである。グアンチャーレとペコリーノチーズの動物性脂の濃厚さがキツイ人にはキツイかもしれない。ちなみに僕はどうしても食べたかった、チーズと胡椒オンリーのパスタ、カチョエぺぺを注文した。チーズの味を極限まで楽しめる。

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お腹を満たしたあとはパンテオンへと向かった。古代ローマのオーラとその大きさに圧倒された。パンテオン横のパフォーマーに写真を撮られ、お金をせびられると思ったが面白いものを貰えた。センスがある。

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スーパーでヌテラクッキー(とても気に入った。お土産にしたかったが、レアなのか中々出会えなかった)や、有名店のティラミスを購入しつつ、venchiのチョコレートの滝を見た。

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その後はホテルで昼寝をした後、ホテルの近くのレストランへと向かった。正直、味もワインもそこそこだと感じてしまった…。昨日の一つ星のせいだと思う。

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2/28 7日目 イタリア(ローマ)

ビジネスホテル素泊まりだったので朝食にマルクトで購入した青リンゴを食べた。このホテルのシャワーヘッドが完全に手鏡だった。勢いはない。

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なんだかイタリアが大変なことになっているようだが、航空券も払い戻しされていないので行ってきた。(2/27時点で国境閉鎖は見送りになっていた)。ミュンヘン→ローマをアリタリア航空で移動した。たぶん格安なので搭乗口までが遠い。預入手荷物は1つにつき5000円ほど。事前申告で3000円くらいになる。今夜行くレストランのドレスコードがエレガントだったが、エレガントな服なんて持ってないので普通にオフィスカジュアルを選択した。ミュンヘン空港のスモークサーモンフォカッチャサンドが美味しい。ちゃんと温めてくれる。

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雲が少なかったので飛行機の窓からアルプス山脈を見ることが出来た。イタリア上空は快晴であった。

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サーモチェックを受け、ローマに向かう途中で電車に乗り間違えたことに気付き、時間を30分ほどロスしたが、それ以外は全て順調である。ホテルに荷物を置き、街を散策しながら適当なピッツェリアへと入った。今回赴いた都市全てそうだったが、ピザが安い。単品で10€を超えない。ドリンクとセットで8€なんてのもあった。1食1000円弱で安いと感じるあたり、僕の金銭感覚が狂ってきているのかが分かる。大衆的な雰囲気の店だともっと安くて4€くらいの表示だったと記憶している。マルゲリータと共にペローニというイタリアビールを飲んでみたが薄いアサヒスーパードライみたいな味がした。正直美味しくない。アサヒに買収されているらしいが関係ないとは思う。ピザはローマとナポリで生地が違うらしい。ローマピザの生地はかなりしっかりしている。ヨーロッパ風の硬いパン系統の生地だ。ナイフとフォークを渡されたのでこれで自分で切り分けて食べるらしい。ミミ部分を切るのに難儀した。ちなみにイタリア人はミミを食べないという情報が頭の中にあったが、観察した人はもれなく皆食べていたような気がする。

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街を歩いていると何かしらの文化的遺産が目に入るほどの観光都市で、どんな時間帯でも、どこを歩いても、どこの店に行っても日本人が居て日本語が聞こえてくるので少々ウンザリした。完全に偏見であるが適当に石を投げれば、年に1度はヨーロッパ旅行をしないと気が済まなさそうな女子大生に当たりそうであった。一応写真には収めたが、トレビの泉や真実の口を載せても面白くないので、個人的にツボだったものを載せたい。

 

①タバコを吸う女子学生と、食べ物を狙うウミネコ

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②街中のボロボロのイタ車とは真反対のピカピカのDUCATIとポリス
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③たぶん近くに思い詰めた研究生がいる。
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④夕焼けとスペイン広場近くのなにかの塔と月、金星?きれい。
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⑤バラの花みたいなジェラート。ストラッチャテラ、ヘーゼルナッツ、チョコレート。ピスタチオマカロン。ストラッチャテラはチョコチップ入りアイスみたいな感じ。マイプロテインのストラッチャテラフレーバーより500倍は美味しい。
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夕食にImagoという1つ星レストランを予約しておいた。こういうものは緊張に呑まれると全く楽しめないので、演じるように振る舞う(気持ちで臨んだ方が)良いし、圧倒的に楽しいと思う。それも含めてドレスコードではないだろうか。レストランのドアマンが近衛兵のようでカッコイイ。後から教えて貰ったが、回転扉は普通に歩いていてもドアマンは客に絶対に扉に触れさせないらしい。ビビってヨタヨタ歩いてしまったのでやりにくかったろうと思う。店の中に入ると、店員の挙動が優雅すぎる。ミュージカルでも見ているかのようだった。最初から最後までめちゃくちゃ英語を聞かされたので僕の英語力では爆発してしまうと思ったが何とかなった。食事の途中で定期的にどうですか?と聞かれる。気の利いた感想でも言えたらいいのだが、要約してもGood程度の内容しかないようなことしか言えなかった。それでもPerfect!とかAmazing!と褒めてくれるので照れるし楽しい。

ようこそお待ちしておりました。Mr.Furuta and madam と仰々しく挨拶をされ、なんだか気づいたらコートをスマートに脱がされていた。終始サー、マダムと呼ばれるのでくすぐったい。これだけでもうおなかいっぱいだ。夜景の見える席に通してもらえた。

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予算の都合もあり、完璧にメニューの予習をしていたので悩むふりをしながら、迷わずスペシャテイスティングメニュー6品のコースを注文した。ワインペアリングのシステムがよく分からなかったので聞いてみた。ソムリエは本来1品ずつ6種類のワインを楽しんでもらいたいのだが、アラカルト用の3種類のワインペアリングもできると言っていた。お金が無いのでソムリエには申し訳なかったが、3種類のワインペアリングにしてもらった。アレルギーの有無も聞かれた。

コースがスタートすると1品1品ゆっくりと運ばれてくる。1品テーブルに置かれる度に料理の説明をしてくれる。6品コースのはずだがコース以外に無限に出てきた感じがした。その日の晩に聞き取れた限り記憶を辿ってメモにおこしたが、肝心の部分を全く聞き取れていない。さらに、食材を推測できるほどの舌の経験を持ち合わせていなかった。悲しい。食レポの語彙もリスニング能力も貧相である。今後鍛えていきたい。

ワインであるが、ボトルの写真は撮れなかった。今では何を飲んだか全く分からない。グラスを空けると例のボトルの底を持つスタイルでどこからともなく現れて勝手に注いでくれるからだ。わりとドボドボ注がれて跳ねたりしたが、それでいいんだとなった。一応ちゃんと説明してくれる。例えば2010年、スペイン産、シャルドネでフルボディ、魚料理や前菜に最適、ハチミツ、レモンの香りと言われるが、秒で頭から抜けていく。

 

1杯目のワインはかなり香り豊かなミディアムボディ。いわゆる何にでも合う優秀な白ワイン。アパタイザーや魚料理にベストらしい。場の雰囲気に飲まれた訳ではなく今までで1番美味いと本気で思った。

 

シェフからのウェルカムアンティパスト

1.中央下、ボンボンショコラがドライオレンジの上に乗せられている。とても繊細なので一口で食べてくださいと言われた。口に入れて歯を立てた瞬間に砕け散り、冷たいリキュールが口内に溢れた。パリッと言う程薄いチョコレートコーティングだった。どうやって作るのだろう…。リキュールのアルコール度数とチョコの繊細さだけが記憶に残った。

2.左、トリュフプディング。このサイズでトリュフを口にするのが初めてで、トリュフの香りが口の中を支配した。プディングの正体は微塵も分からなかった。けっこう弾力があった。

3.右、アンチョビとクリームチーズのクラッカー。アンチョビとクリームチーズは天才だ。家でやろう。クラッカーは完全に八ツ橋的食感だった。

4.中央上、シーフードフライ。日本人なのでカニクリームコロッケかと思った。ホタテとエビがゴロゴロ入っていた。1番馴染みの味だった。

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ミックスサラダ。レモンドレッシングをかけてもらった。ガーデンのような見た目が楽しい。レモンの爽快さと強いオリーブの香りを感じた。全てが若芽のように柔らかく、皿にはローマの風景があしらってある。今気づいた。なんかの模様かと思っていた。

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サラダを食べながら談笑していると。他の何組かの客も案内されて入ってきた。他の人を観察していると、パンが乗ったカートが引かれてきた。シルクの手袋を着用した人が1枚1枚その場でパンを切り分けてくれる。パンを切る音、かなり好きだ。3種のパンと言われ、説明されたが聞き慣れない単語すぎて全て忘れた。別の何人かがペッパーブレッドプレッツェルとバター、フォカッチャ、料理を運んでくれた。プレッツェルは1本食べて終わってしまった。イタリアのレストランで出されるこのプレッツェル、完全に乾パンの味がするので量が食べられない。まあ量食べるものではない気がするが。バターはかなり低融点で僕が好きなタイプである。花びらがあしらってある方が女性用らしい。写真中央はまた1口料理。ポルチーニ茸のパイ包みペコリーノチーズ。僕は料理にハードチーズを無限にかけるタイプなのだがペコリーノチーズは少量でかなり強い存在感があるので好きだ。不慣れな香りがしたがポルチーニ茸のものだろう。調べたが松茸やトリュフと同じイグチ科らしい。イグチ科は香り高いのだろうか。

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オニオンとガーリックのイタリアンフォカッチャ。説明そのまんまの、オニオンとガーリックの風味がする。ケーキのようなしっとり感だった。サイゼリアPascoで学んできたフォカッチャの味とミュンヘン空港で食べたフォカッチャ、イタリアで食べたフォカッチャ達、全て違うパンなのではというほどキャラクターが異なる。ホンモノのフォカッチャってなんなんだ…。
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1品目がようやく運ばれてきた。直訳だが、生のイタリアンビーフラディッシュオイスターソースらしい。牛肉は細かくされていてユッケのような食感であった。フリーズドライと素揚げの2種類でパリパリにされたラディッシュの葉の花びらを開いていく。オイスターと聞こえたがソースの中にオイスターは感じなかった…

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2品目はフィッシュ(金目鯛)のグリル、3層の焼き加減、モッツァレラとザクロ、エビ(味噌)のソースである。カッコ内は聞き取れなかったが、僕の舌の経験から補ったものである。ソースの海にダイブしそうな盛り付け方が楽しい。金目鯛は皮がわから恐らく揚げ焼きのようにされている。鱗がパリパリに立っていたからだ。中間層がミディアムレアで外層がレアだろうか。ナイフスキルが低いので、バラバラにしかけつつ口に運ぶと3種類の食感が一度に楽しめる。ソースはエビミソとモッツァレラの濃厚さをザクロが上手く取りまとめていた。味の情報量が非常に多い料理だったが、料理は味が複雑であればあるほど美味い気がする。
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箸休め的にまた1口料理が出てきた。貝のレバークラッカー、ベリーソースである。貝のレバー、日本以外でも食べるんだ…。なんのレバーかなんてわかるはずもなく終了した。レバーとフルーツソース、結構いいかもしれない。クラッカーは薄焼きせんべいの食感だった。

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談笑しながらパンを食べていると、テーブルの前に何かが置かれた。ローマの夜景の解説のようだ。完全なサプライズで嬉しい。本物の夜景と照らし合わせていくのが楽しい。

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3品目、シーフードマッシュルームパスタ。あ、パスタきたと思ったが、パスタのように切ったマッシュルームと言われた。料理名、Sea and Mountain らしい。ソースはオイル系でやはりオリーブの濃厚な香りがする。海鮮は、エビ、ホタテ、イカである。軟体系海鮮とキノコのシャキシャキが支配する食感料理だった。

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4品目、今度は本当にパスタが出てきた。撮り損ねたが、配膳された時は蓋の中に煙が閉じ込められてスモークされていた。炭火の煙だ。シーフードフジッリ。また海鮮だったが、今度は生と火の通ったものの2種類が入っていてかなり楽しめた。まさかパスタの中に刺身が入っているとは思わなかったので、かなり不意打ちであった。こちらもオイルソース。フジッリはかなり硬めに茹でられていた。僕が好きな茹で加減だ。炭火の香りがするパスタは初めてだった。
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ここでグラスが回収され、形の違うグラスが置かれ、赤ワインに変わった。かなり辛口だったが、渋みは少なく、香りを感じやすいワインだ。

それから5品目、運ばれてきた瞬間に不意打ち的にタバコの匂いがした。元喫煙者なので瞬間的に分かった。間違いなくタバコだ。足つきでインパクト大のこの料理は、タバコ葉でスモークしたハトのグリル、カカオソースがけである。ハトは初めて食べる。焼き加減はレアで、ハト特有の?獣臭さが残るものの、カカオの苦味が打ち消してくれている。そこにタバコの香り。かなり大人の味だった。ワインとの組み合わせも良く、これまでの人生で食べた料理で1番の評価をしたい。

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メインが終わると、また箸休めが。ハトのレバーチョコレートである。鶏レバーの濃厚なペーストをビターチョコレートコーティングしてある。冷たいので口に入れるとかなり面白い。それにしてもここのシェフ、かなり苦味を得意としている。
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強烈なレバーチョコレートの後には、お口直しとしグレープフルーツジェラートが運ばれてきた。ジェラートと言われたが、普通に美味しいグレープフルーツシャーベットだった。

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6品目のデザートが運ばれてくるまでに、次のワインが準備された。デザートワインである。人生初のデザートワイン。食後酒的ポジションではなく、デザートと共に飲むらしい。かなり冷やされていて、強烈に甘かった。なんと表現すればいいのかわからない。困った。サングリアや白ブドウジュースが最も近いが、全く別物である。極甘口貴腐ワインというやつだろうか。今度デザートワインを買ってみようかと思った。多分女子が大好きだ。アイスクリームと合わせても負けない糖度を持つ。

6品目は、カボチャアイスのゴールデンリーフミルフィーユ、バニラソースとワイルドベリーである。食べる直前にバルサミコ酢をかけてもらった。1980年代のもので、スポイトで数滴垂らしてもらった。このバルサミコ酢だが、熟成が進みかなり独特な風味を纏っていた。苦手な人が多いかもしれない。これだけ甘々続きなのに、バニラソース、アイスクリーム、デザートワインそれぞれがしっかりと住み分けている。これだけ完成度の高い甘味には初めて出会った。
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食後にエスプレッソとお菓子類が出された。オレンジ、マカロン、ドーナツ、ジャンドゥーヤ、チョコレート、クッキー。ドーナツにはチョコレートとバニラソースが添えられている。オレンジはかなり甘くて驚いた。そういえば地中海はオレンジが有名だったような気もしてきた…。この時点でかなり酔いが回っており、あまり記憶の精度が良くない。さらには、デパ地下で買えそうとまで思ってしまったのであった…。

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2/27 6日目 ドイツ(エルディング)

初日のミュンヘンと同じホテルで朝食を済ませたあと、空港近くのホテルへチェックインし、少し離れたエルディングという街に来た。空港からバスで30分ほど。更に歩いて15分といったところにテルメエルディングというテーマパークがある。ここで遊ぶためだけに、はるばるエルディングまで来たのだ。広大なヌードエリアを有するこの施設との出会いは、ヨーロッパとか温泉あるのかな…入りたいな…という軽い気持ちで「ドイツ 温泉」と調べた結果である。ヌーディズムというより、ドイツは温泉は混浴という文化らしい。北欧のサウナと同じ。

写真撮影はもちろん禁止なのでこの日の写真はほとんど残っていない。入口だけである。

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テルメエルディングはヨーロッパで2番目、ドイツでは最大のプール施設であり、35種類のサウナ、27種類のウォータースライダー、34種類のプールがある。らしい。エントランスホールはかなり複雑な作りをしているのだが、①全年齢、水着着用のプールエリアのみのゲート、②全年齢、水着着用のスパエリアとヌードエリアに入れるゲート、③全年齢、水着着用のプールエリアとヌードエリアに入れるゲート、がある。ヌードエリアは16歳以上入場可能。大学生っぽい男女グループやファミリーは真っ直ぐ①のゲートへ向かっていった。②、③へは2人組、カップル、夫婦ばかりが吸い込まれていく。

 

早速と思った時にコロナ関連の連絡が沢山入っていたことに気づき、中に入るとスマホがイジれなさそうだったのでエントランスホールでしばらく対応した。代理で電話連絡などしてもらった友人たちには感謝したい。

 

ひと段落ついた後、早速③のゲートで入場手続きをした。サウナではおしりにバスタオルを敷かなければならないのでレンタルした。デポジットで一時的に100€くらいだったか…、を取られるが、ちゃんと返せば返金される。1日コースで51€だったと思う。水着エリアだけだと10€くらい安い。ロッカールームの番号が書かれたリストバンドを受け取り、更衣室に向かうよう指示される。エリア内にはレストランからバー、マッサージルーム、ホテルまであり、エリア内ではリストバンドを機械にかざすことで支払いを記録する。延長料金を含め、帰る際に精算される。大江戸温泉物語のようだ。

エントランスを抜けるとまず、更衣室があまりにも広い。水着エリア用の個室がずらりとならんだエリアを抜けると、ヌードエリア用のロッカールームがあるが、なんと(当たり前だ)全て男女共用らしい。本当にここで脱いでいいのか?というドキドキ感と共に、トイレに行くんだ的顔をして周りの人を観察しながら歩いてみた。おじいちゃんが全裸で歩いており、あ、温泉かな?となった。その隣を服を着た女性がモップがけをしている。違和感。自分達のロッカーに戻る際に全裸の男女を見てしまい、とんでもない所に来たと恐怖を感じ始めた。とりあえず荷物をロッカーに押し込み、10分くらいかけて恐る恐るタオルを巻いた銭湯スタイルになった。一応水着を持ってきたのだが結局水着エリアには入らず、着用していない。何故かエリア内はアナログなコインロッカーが置かれていたが、ほとんどの人は使用せず、近くの棚に置きっぱなしにしていたのでそれにならった。1日放置しても盗まれなかったのでかなり治安はいいと思われる。

ヌードエリアに入ると、これまでのどんな光景よりも異文化にどっぷり浸かっている感覚を覚えた。正直、初めて某国のショーウィンドウ式風俗街に行った時よりもショックが大きかった。ヌーディズムを理解するのは難しい。なぜ隠さないのか……。しばらくは全員すっぽんぽんのナガシマみたいな空間に気圧されていた。といっても、3割くらいはタオルで前を隠し、歩き回っていた。前は隠すが尻が丸出しだったり、片乳が出ている、何となく隠しスタイルだ。これを見た僕は完全に安心し、悠々と振る舞う勇気を得たと同時に、こんな体験が出来て良かった、という高揚感も得た。のだが、あまりにも全員が全員アンダーヘアケアが完璧なので、ドレスコードを乱しているような変な気恥しさを覚えた。何事も初動はかなりのエネルギーを要するもので、タオルをプールサイドのフックにかけ、防御力0状態で水の中に入るまでが非常に長く感じた。

水の中に入ってしまえばこっちのもので、揺らめく水面からは何も見えないので安心だ。驚いたことに水がしょっぱい。なるほど、長時間入っていても手足がふやけないようになっているようだ。水温は30℃といったところか。ヌードエリアのプールは基本ゆったりしていて、ウォータースライダーのような派手なものはないが、なんとプールの各所にバーがありお酒が飲める。バー周辺では全員がビールや南国風のカクテルを片手にぷかぷか浮かびながら談笑している。もちろんビールはErdingerであった。周りを観察する余裕が出てきたのでじっくり見渡してみたが、年齢層、男女のバランスは非常に良い。というか、後で知ったのだがドイツは16歳からお酒が飲めるらしい。高校生くらいの若者もたまに見かける。日本人が幼く見える理由を垣間見た気がした。

外のプールは流れるプールゾーンがあり、多くのカップルが熱烈に絡み合っていた。一緒に流されていると色んなものとぶつかる。ご想像にお任せしよう。諸事情で一時的にジャグジーゾーンの泡の中で精神統一を果たし、陸に上がることにした。日が落ちてからも行ったが、夜の流れるプールはもっとピンク色な雰囲気になる。ナイトプールを思い出した。行ったことないけど。ナイトプールなんて可愛いもんだなと、心の中でよく分からないマウントを取ることもできる。

かなり長い時間プールにいたが、次にサウナゾーンへと向かうことにした。サウナゾーンは前述したがタオルを自分の体の下にしくことで汗エチケットとする。男女問わず寝そべる人も多く、面白い景色を見ることができる。岩塩サウナ、動物の鳴き声が聴こえる森のサウナや、一定時間ごとに部屋中央の岩からお湯が噴出するサウナなど、様々なコンセプトのサウナがある。個人的にアロマサウナが気に入った。アロマサウナは50度くらいの温度なので癒されながら長居することが出来る。サウナゾーンでは、何度かスタッフがイベントを催してくれる。ビールを配ったり発汗作用のある薬液を配ったり様々だ。アロマサウナでロウリュ(アロマ水を焼石にかけるやつ)を狙っていたのだが、色んなサウナを楽しもうと頻繁に移動をしていたため、運悪く1度もイベントに当たることが出来なかった。(電光掲示板でイベントスケジュールを確認出来ることを後で知った)。

夕食もここで済ませることにした。ビールとハンバーガーを注文した。公共の場で全裸で食事するなど生まれて初めてであった。リストバンド"ピッ"システム、やはり楽である。チップとかないし。ハンバーガーを食べていると水着エリアからバンド演奏が聴こえてきた。水着を着るのもだるかったので行かなかったが…。筒ビート板みたいなものを体に巻き付けて静寂の中プカプカ浮くプールでダラダラと過ごした後、今日見た光景を振り返りながら帰路に着いた。帰りは暴風雨という試練だった。

ちなみに1日で、孤独な日本人中年男性1人と日本人女子大生グループを見かけた。お互いたぶん日本人だと気づいていたと思う。男には警戒心を、女子大生には気まずさを感じた。

 

2/26 5日目 オーストリア(ザルツブルク)、ドイツ(ミュンヘン)

 

ミュンヘンフュッセンではスズメの囀りが聞こえたが、ザルツブルクの朝は春の森の奥で聴くような(?)小鳥の囀りを聴くことができた。そう言えばカラスがいない。ザルツブルクでの朝食。もう見飽きただろうか。オリーブオイルに浸かったピクルスとハーブを纏ったクリームチーズが良かった。カイザーパンの上の蜂の巣みたいなやつはウエハースであった。

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今日もザルツブルクは曇りであった。午前中はホーエンザルツブルグ城という要塞に登った。当たり前だが、城、山の上にありすぎ。墓地を通りながら決められたルートを登っていく。ダークソウル…ゼルダの伝説…という感想しか出てこないが、完全にゲームの世界そのものであった。城門を過ぎると急に坂道が急になる。地面が濡れていれば滑り落ちそうだ。脇に観光客用の階段があった。城攻め中にテンションマックスの僕は写真をたくさん撮ったのだが、見返すと意外と地味である。

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武器庫、厨房、鍛冶場、教会、地下牢獄、拷問部屋、見張り台、大砲群と順に見たが、ツアー客ではないので外側の勝手口みたいなものを見ながら想いを馳せるに留まった。しかしながら、見張り台が立ち並ぶ屋上的場所に出るとザルツブルクを見渡すことが出来る。上の写真では昨日通ったチェス盤の広場が見える。城壁が崖のようになっており、ヘリに座るのは非常に危ない。やめて頂きたい。

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ザルツブルクとは反対側の街並み。アルプス山脈が望める。

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欧米風の大学生グループに写真を撮ってあげながら山道をくだり、ザルツブルクの中心街へと戻っていった。リスを初めて見た。下はエンカウント不可避な物乞いの道。

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なんだか観光客が集まるMozart cafeに入ってみた。ザルツブルガーノッケルンという、存在は知っていたがどこで食べられるのかイマイチ分からなかったお菓子の写真の看板が出ていたのが決めてであった。ここでもまたホットワインを注文。めちゃくちゃでかいのだが、9割はメレンゲなので2人もいれば軽く食べられる。底面に敷かれたフルーツソースと共に頂く。アルプス山脈に見立てたメレンゲは砂糖が控え目なので増量中のボディビルダーでも食べられると思う。

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Furstのモーツァルトクーゲルというチョコレートと岩塩チョコレートを購入しながら、ボスナ(ホットドッグ)を屋台で購入し、ミュンヘンへと戻ることにした。ボスナはパニーニ系統のパンにグリルしたソーセージが2本挟んである。ケチャップとマスタードではなくカレー粉で食べる。20€札を渡したら俺は銀行じゃねえと悪態をつかれながらお釣りを渡された。言い忘れていたがザルツは塩という意味で岩塩の名産地である。

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ミュンヘンへ戻ると吹雪となっていた。ここ2週間で最も寒い1日であった。駅から10分程の道のりを歩くと全身に雪が積もった。瓶ビールを外で冷やしながら着替えていると嘘のように快晴となったのでマルクト(市場)に向かうことにした。市場は見ているだけで楽しめるが、静かな店が多かった。吹雪のせいかと思ったが、マルクトのおじさんによると昨日ダンスフェスティバルがあった余波らしい。オリーブ、チーズ、ワイン、サラミの専門店を見て回った。肉屋でお兄さんが食べていたサンドイッチが美味しそうに見えたので、同じものをと注文した。豚ロースをローストしたものに揚げた豚の皮をトッピングしてもらったが、終盤顎が砕けるかと思った。

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30分ほど歩き、英国庭園に向かうと真冬にも関わらずリバーサーフィンを楽しむ人々を見ることが出来た。ミュンヘンは海がないので川でサーフィンをするらしい。

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夕食はマルクトやスーパーの惣菜で済ませることにした。ホテルで落ち着いて食べられるのはいい。自分用に瓶ビールでHackerのヘレスとErdinger の白、それからいくつかのお土産用ビールも購入した。

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パンが非常に安かった。0.5€もしなかったような気がする。オリーブ屋で買ったパプリカのオリーブ漬けの正体が実はチリで、完食するのに非常に苦労した。ヨーロッパ味の素のサラダシーズニングは非常に酸っぱい。ヨーロッパ在住時代の彼女のソウルフード的商品群も面白かった。蝋に包まれたベビーチーズ、クスクス、外で冷やしているため写真にはないがチョコレートムース?を結構頑張って色んなスーパーを回って買い集めて頂きました。クスクスの酸味の効いた味付けが個人的にハマった。

 

本日の移動

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2/25 4日目 オーストリア(ザルツブルク)

フュッセンで泊まったホテルはサラミとチーズの種類が豊富だった。テンションが上がり、全種類を皿に乗せた。恐らく塩分量がえげつないことになっていたがビールで薄めることに決めた。殊更変わったものはレバーソーセージと黒ソーセージであった。レバーが好きなので臭みのないレバーペーストのまったりした感じにハマった。肉類なので日本に持ち帰れないのは残念だ。黒ソーセージは二度と食べたくないものの1つになった。豚の血と脂と肉の腸詰めらしい。ブラッドソーセージは血液100%だと思っていたが、そういうのは北欧とかのものらしい。熟成された血液というものを初めて口にしたが本当に食べられたものではなかった。薬品…と思ったことは覚えている。息を止めて飲み込んだ。(中央の皿の右端の黒いヤツである。)ハリボーのタイヤグミに次ぐドイツのゲテモノとして認定した。

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フュッセンをもう少し散策したい気持ちはあったが、次の都市に向かうべくホテルを後にした。フュッセンミュンヘンザルツブルクという4時間近い大移動で、12時くらいに到着した。ちなみに諸事情からこの日はメタルTシャツを着ていない。ドレスコード、フォーマルのつもりらしい。

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ザルツブルクは曇っていたが、街の雰囲気はかなり良かった。ウィーンほどでは無いと思うが、音楽の街っぽくソロのヴァイオリンやアコーディオン、弦楽器の三重奏などが至る所で聴ける。観光地は全て徒歩圏内で非常にコンパクトな都市である。ドイツより少しだけ物乞いが増えた気がする。ホテルの受付のお兄さんがどこだかのパワーメタルバンドのボーカルにめちゃくちゃ似ていた。声が低いのとあまりにもボソボソ喋るので一言も聞き取れなかった。ハローしか分からなかった。彼女の方は何故か聞き取れるようなので全て任せた。

街中は声に出して読みたいpostbusと呼ばれる電動?バスが走り回っている。昆虫の触覚のような物がバスの屋根から生えており、電線と繋がっている。恐らくバスが暴走したら電線は引きちぎられることだろう。

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サウンドオブミュージックのロケ地であるミラベル庭園などを一応見ながら街の中央へと歩いていった。

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昼食はSternbrauという醸造所。ビールはDie Weisseというオーストリア白ビールとEdelweiss の黒ビール。思ったようなシュニッツェルが食べられなかったことで、ここでもシュニッツェルを注文。仔牛肉だった。ここのシュニッツェルは満足できた。ビールはまた細かい味を忘れてしまった。安定の白ビールミュンヘン黒ビールという感じ。ローカルビールを飲んだという事実に満足した。何故かこの日はいつもより酔った。

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モーツァルトの生家に行ったが意外と楽しめた。ここも学割が効く。手書きの楽譜がたくさんあった、生前の手紙とか髪の毛まで展示されていた。借金返済を待ってくださいとか、この曲をあなたに捧げますとかそういう内容だった。

Sacherにも行った。ザッハトルテ発祥の店らしい。ザッハトルテは7.5€もした。かなり格式高いカフェで、ドアマンが扉を開けてくれる。メランジェ(ウィンナーコーヒー)と共に頂いた。添えられたホイップクリームは甘くなく、ケーキとよく合う。正直、やはりパサつくケーキ生地に感動が半減したのも確かだがコーティングされたチョコレートはとびきり美味しかった。四角いやつはtopfenstrudelという名前で、フルーツとカスタードのパイ包みである。正直こちらの方が好みであった。

※格式高い店でスマホのシャッター音を鳴らすのが忍びないので、そのような場合にはデジカメでサイレントに撮影した。

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夕刻過ぎから街歩きをし、大きなチェス盤を眺めつつ、個人的にどストライクな細い路地を通り抜けながらザルツの聖ペーター教会へと向かった。

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どこかで機会があればコンサートとか行きたいな、などと少しばかりクラシックをかじった僕はモーツァルトディナーコンサートなるものを見つけてしまい、つい予約してしまったのである。60€で食事付きのオペラを観られるなら安いものだ。モーツァルト時代のレシピを元にした3品が出てくる。料理好きとしてはこの上なく楽しみである。やたら背の高い執事のような人に受付をしてもらい、ジャパニーズ?コンバンワ!ハジメマシテ!と片言の挨拶を受け席に案内してもらった。観光地での日本語は警戒してしまう。

席に案内されると飲み物をどうするか聞かれた。メニューを見ずにシャンパンを頼んでしまったがこれが大失敗だった。グラス1杯で20€もしてしまったのだ。Bollinger special cuvee NVと書いてあったので後から調べると007でジェームズ・ボンドが愛飲していたシャンパンらしい。シャンパンなんてマックスバリューの1瓶1500円くらいのものしか飲んだことがなかったが、自分を納得させるべく記憶を辿ってみるとなるほど確かにマックスバリューのものはワインを炭酸水で割ったような味がしたが、ボランジェはそんなではなかった気がする…。

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そんなこんなで出されたパンをかじりながら待っていると楽器隊が入場してきた。ヴァイオリン2人とビオラコントラバス。それから男女のオペラ歌手という小編成。

1曲目はDon Giovanni KV527のオペラ。初めて聴いた生のオペラは迫力があった。ストーリーを知らないながらも歌手の表情や動きで何となく推察していった。それぞれの曲はだいたい30分くらいの演奏時間で美味しい部分のつまみ食いである。と思う。1曲目が終わると1品目の料理が運ばれてきた。Clear lemon chicken soup with curd cheese and rosemary dumplingという、言うなれば肉団子スープである。書いている今答え合わせをしているのだが、コンソメスープだと思っていたものはレモンチキンスープだったらしい。ダンプリングの強烈なチーズの酸味とハーブの香りが印象的であった。あれはローズマリーだったのか。ちなみに客全員が食べ終わり、食器が片付けられないと次の曲が始まらない仕様らしく、ゆっくりとした食事は出来なかった。

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2曲目はLe nozze di Figaro KV492。かの有名なフィガロの結婚である。やはり知っている曲を聴けるのはテンションが上がる。その後、2品目のメインが運ばれてくる。Supreme of corn fed chicken on glaze of red wine and herbs with creamy white polenta and vegetables from padre prior's gardenである。トウモロコシ鶏、赤ワインとハーブのソースと白ポレンタと共に~司祭の農園で採れた野菜を添えて~と言ったところだろうか…。ポレンタとはトウモロコシ粥のことらしい。俺のフレンチで食べたロッシーニにかかっていたソースとそっくりだった。緑の野菜はネギである。

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3曲目はEine kleine nachtmusik KV525。なんかねっとりした雰囲気になった。愛のセレナーデと言うし。3曲目が終わるとデザートが運ばれてくる。semi frozen parfait of wild honey on two different sauces。チョコレートとオレンジソースの上に蜂蜜ベースのムースが乗っている。このソースだが、皿がやたら冷やされているためスプーンでガリガリ削る必要があった。

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4曲目にDie Zaubelfrote KV620こと魔笛が演奏され、拍手喝采のもと幕引きとなった。この後すぐにシャンパンのレシートを確認して夢から醒めることになる。ちなみにプレミアムシートにするとディナーメニューが変わり、最前列のテーブルに着くことができる。貴族みたいな老夫婦が大量のワインを飲んでいた。今回の経験によってKVがモーツァルトの作品番号であることを覚えた。

帰り道のザルツァハ川沿いの夜景は小樽的情緒があった。

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本日の移動

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2/24 3日目 ドイツ(フュッセン)

3日目の午前中はフュッセンまで2時間の鉄道旅である。道中は永遠にこのような光景が続く。列車は直線が多いからか、リニモのように静かであった。国鉄の人にチケットをチェックされた。

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小雨だったがフュッセンに向かうにつれて止んでいった。フュッセンオーストリアとの国境近くに位置し、ノイシュヴァンシュタイン城に最寄りの街である。ロマンチック街道と呼ばれるドイツの観光ルートの終点に当たる都市で、夜は静かで上品な雰囲気であった。

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Konditorei Kurcafeでsisitorteというオーストリア皇妃のために作られたチョコレートケーキとローテンブルク名物のSchneebalというお菓子をテイクアウトし、バスに乗り込んだ。sisitorteはKonditoreiの系列で食べたいと思っていたので夢が叶った。今まで食べたケーキの中で1番洋酒が強烈に効いていた。日本に近いふわふわ系のスポンジとチョコレートクリームがよく合う。シュネーバルはドーナツとクッキーを足して2で割ったような味と食感であった。かなり口の中の水分を持っていかれた。割と大きいので1人で1つ食べるのはツラい。それから、適当に買ったビールは今調べたらアメリカのものだった。

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フュッセンからノイシュヴァンシュタイン城行きのバスに乗ると、10分でチケットセンターに着く。ノイシュヴァンシュタイン城は入場=ガイド付きツアーになる。当日券のチケット販売列は閑散期であるにもかかわらずかなりの行列であった。数組の日本人を見かけた。事前にネット予約をしていたためスムーズにチケットを引き換えることが出来た。引き換え時間についてLatest と書いてあったが、単語の意味を「最新」であると誤認していた。どうやら「遅くとも」らしく、出国直前に気付くことが出来たので事なきを得た。

ノイシュヴァンシュタイン城までの行き方やチケットに関してはググればいくらでも出てくるが、チケット引き換えの時間には注意したい。Latestはダメ。

適当な売店でホットドッグとマルゲリータを購入し、昼食とした。パンが冷めきっていて最悪だった。メニューにはブルスト(ソーセージ)と書いてあるが、ドイツではブルストを注文するとパンが勝手に付いてくる。捨てる人もいるらしい。なるほど、だからあれ程ドイツのハトは太っているのか…写真の見た目通りの味がした。

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チケットセンターからは更に山道を登る。若いし、時間もあったので徒歩を選択した。馬車も通るので糞に気をつけながら登っていく。日本の山と違うオーラがある。ドラゴンとか居そう。

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ノイシュヴァンシュタイン城ツアーは電話の子機のようなものを耳にあて続けて進んでいく。ガイドは勝手に進んでいくのでツアーグループのフットワークが重要である。先頭集団がゆっくりじっくり見るので最後尾の僕はだんだんと音声ガイドとズレていき、最後の方はよく分からない壁を見ながら天井画やステンドグラスののエピソードに耳を傾けていた。写真撮影は禁止で、壁にもたれるのも禁止らしい。至る所に警備員がいて厳しく注意をしていた。玉座ワンルームくらいあるシャンデリアに感動した。特に、演場の燭台群は1つ1つ使用人が蝋燭に火を灯していたことを想像してしまった。大変そうだなという陳腐な感想を抱いた。こんな所に住むのはどんな気持ちだろうと想像したが、湖畔で謎の死を遂げるので王家もいいことばかりではないなと思った。

ツアーを終えると快晴になっていた。人混みをかき分けながら撮影スポットであるマリエン橋から城を撮ると、Webで拾ってきたかのような写真が撮れた。アルプ湖やホーエンシュヴァンガウ城も美しかった。一生覚えている景色になるだろうと思った。

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気温は覚えていないが半袖で過ごすほど暑かった。そんな中またホットワインを飲んでいた。

夕食はKonditoreiホテル併設のレストランでシュニッツェルを食べた。今度は仔牛肉であった。ビールはPaulanerの白。ラドラーなるビアカクテルとコンソメスープも美味しかった。ここのシュニッツェルはナイフを入れると衣が分離していく。少し油っこかった。付け合せのベリーソースはいったい何に使えば良かったのだろうか?カツレツにもジャーマンポテトにも合わなかった…

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本日の移動

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