古田の戯言

気が向いた時に

2/28 7日目 イタリア(ローマ)

ビジネスホテル素泊まりだったので朝食にマルクトで購入した青リンゴを食べた。このホテルのシャワーヘッドが完全に手鏡だった。勢いはない。

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なんだかイタリアが大変なことになっているようだが、航空券も払い戻しされていないので行ってきた。(2/27時点で国境閉鎖は見送りになっていた)。ミュンヘン→ローマをアリタリア航空で移動した。たぶん格安なので搭乗口までが遠い。預入手荷物は1つにつき5000円ほど。事前申告で3000円くらいになる。今夜行くレストランのドレスコードがエレガントだったが、エレガントな服なんて持ってないので普通にオフィスカジュアルを選択した。ミュンヘン空港のスモークサーモンフォカッチャサンドが美味しい。ちゃんと温めてくれる。

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雲が少なかったので飛行機の窓からアルプス山脈を見ることが出来た。イタリア上空は快晴であった。

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サーモチェックを受け、ローマに向かう途中で電車に乗り間違えたことに気付き、時間を30分ほどロスしたが、それ以外は全て順調である。ホテルに荷物を置き、街を散策しながら適当なピッツェリアへと入った。今回赴いた都市全てそうだったが、ピザが安い。単品で10€を超えない。ドリンクとセットで8€なんてのもあった。1食1000円弱で安いと感じるあたり、僕の金銭感覚が狂ってきているのかが分かる。大衆的な雰囲気の店だともっと安くて4€くらいの表示だったと記憶している。マルゲリータと共にペローニというイタリアビールを飲んでみたが薄いアサヒスーパードライみたいな味がした。正直美味しくない。アサヒに買収されているらしいが関係ないとは思う。ピザはローマとナポリで生地が違うらしい。ローマピザの生地はかなりしっかりしている。ヨーロッパ風の硬いパン系統の生地だ。ナイフとフォークを渡されたのでこれで自分で切り分けて食べるらしい。ミミ部分を切るのに難儀した。ちなみにイタリア人はミミを食べないという情報が頭の中にあったが、観察した人はもれなく皆食べていたような気がする。

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街を歩いていると何かしらの文化的遺産が目に入るほどの観光都市で、どんな時間帯でも、どこを歩いても、どこの店に行っても日本人が居て日本語が聞こえてくるので少々ウンザリした。完全に偏見であるが適当に石を投げれば、年に1度はヨーロッパ旅行をしないと気が済まなさそうな女子大生に当たりそうであった。一応写真には収めたが、トレビの泉や真実の口を載せても面白くないので、個人的にツボだったものを載せたい。

 

①タバコを吸う女子学生と、食べ物を狙うウミネコ

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②街中のボロボロのイタ車とは真反対のピカピカのDUCATIとポリス
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③たぶん近くに思い詰めた研究生がいる。
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④夕焼けとスペイン広場近くのなにかの塔と月、金星?きれい。
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⑤バラの花みたいなジェラート。ストラッチャテラ、ヘーゼルナッツ、チョコレート。ピスタチオマカロン。ストラッチャテラはチョコチップ入りアイスみたいな感じ。マイプロテインのストラッチャテラフレーバーより500倍は美味しい。
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夕食にImagoという1つ星レストランを予約しておいた。こういうものは緊張に呑まれると全く楽しめないので、演じるように振る舞う(気持ちで臨んだ方が)良いし、圧倒的に楽しいと思う。それも含めてドレスコードではないだろうか。レストランのドアマンが近衛兵のようでカッコイイ。後から教えて貰ったが、回転扉は普通に歩いていてもドアマンは客に絶対に扉に触れさせないらしい。ビビってヨタヨタ歩いてしまったのでやりにくかったろうと思う。店の中に入ると、店員の挙動が優雅すぎる。ミュージカルでも見ているかのようだった。最初から最後までめちゃくちゃ英語を聞かされたので僕の英語力では爆発してしまうと思ったが何とかなった。食事の途中で定期的にどうですか?と聞かれる。気の利いた感想でも言えたらいいのだが、要約してもGood程度の内容しかないようなことしか言えなかった。それでもPerfect!とかAmazing!と褒めてくれるので照れるし楽しい。

ようこそお待ちしておりました。Mr.Furuta and madam と仰々しく挨拶をされ、なんだか気づいたらコートをスマートに脱がされていた。終始サー、マダムと呼ばれるのでくすぐったい。これだけでもうおなかいっぱいだ。夜景の見える席に通してもらえた。

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予算の都合もあり、完璧にメニューの予習をしていたので悩むふりをしながら、迷わずスペシャテイスティングメニュー6品のコースを注文した。ワインペアリングのシステムがよく分からなかったので聞いてみた。ソムリエは本来1品ずつ6種類のワインを楽しんでもらいたいのだが、アラカルト用の3種類のワインペアリングもできると言っていた。お金が無いのでソムリエには申し訳なかったが、3種類のワインペアリングにしてもらった。アレルギーの有無も聞かれた。

コースがスタートすると1品1品ゆっくりと運ばれてくる。1品テーブルに置かれる度に料理の説明をしてくれる。6品コースのはずだがコース以外に無限に出てきた感じがした。その日の晩に聞き取れた限り記憶を辿ってメモにおこしたが、肝心の部分を全く聞き取れていない。さらに、食材を推測できるほどの舌の経験を持ち合わせていなかった。悲しい。食レポの語彙もリスニング能力も貧相である。今後鍛えていきたい。

ワインであるが、ボトルの写真は撮れなかった。今では何を飲んだか全く分からない。グラスを空けると例のボトルの底を持つスタイルでどこからともなく現れて勝手に注いでくれるからだ。わりとドボドボ注がれて跳ねたりしたが、それでいいんだとなった。一応ちゃんと説明してくれる。例えば2010年、スペイン産、シャルドネでフルボディ、魚料理や前菜に最適、ハチミツ、レモンの香りと言われるが、秒で頭から抜けていく。

 

1杯目のワインはかなり香り豊かなミディアムボディ。いわゆる何にでも合う優秀な白ワイン。アパタイザーや魚料理にベストらしい。場の雰囲気に飲まれた訳ではなく今までで1番美味いと本気で思った。

 

シェフからのウェルカムアンティパスト

1.中央下、ボンボンショコラがドライオレンジの上に乗せられている。とても繊細なので一口で食べてくださいと言われた。口に入れて歯を立てた瞬間に砕け散り、冷たいリキュールが口内に溢れた。パリッと言う程薄いチョコレートコーティングだった。どうやって作るのだろう…。リキュールのアルコール度数とチョコの繊細さだけが記憶に残った。

2.左、トリュフプディング。このサイズでトリュフを口にするのが初めてで、トリュフの香りが口の中を支配した。プディングの正体は微塵も分からなかった。けっこう弾力があった。

3.右、アンチョビとクリームチーズのクラッカー。アンチョビとクリームチーズは天才だ。家でやろう。クラッカーは完全に八ツ橋的食感だった。

4.中央上、シーフードフライ。日本人なのでカニクリームコロッケかと思った。ホタテとエビがゴロゴロ入っていた。1番馴染みの味だった。

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ミックスサラダ。レモンドレッシングをかけてもらった。ガーデンのような見た目が楽しい。レモンの爽快さと強いオリーブの香りを感じた。全てが若芽のように柔らかく、皿にはローマの風景があしらってある。今気づいた。なんかの模様かと思っていた。

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サラダを食べながら談笑していると。他の何組かの客も案内されて入ってきた。他の人を観察していると、パンが乗ったカートが引かれてきた。シルクの手袋を着用した人が1枚1枚その場でパンを切り分けてくれる。パンを切る音、かなり好きだ。3種のパンと言われ、説明されたが聞き慣れない単語すぎて全て忘れた。別の何人かがペッパーブレッドプレッツェルとバター、フォカッチャ、料理を運んでくれた。プレッツェルは1本食べて終わってしまった。イタリアのレストランで出されるこのプレッツェル、完全に乾パンの味がするので量が食べられない。まあ量食べるものではない気がするが。バターはかなり低融点で僕が好きなタイプである。花びらがあしらってある方が女性用らしい。写真中央はまた1口料理。ポルチーニ茸のパイ包みペコリーノチーズ。僕は料理にハードチーズを無限にかけるタイプなのだがペコリーノチーズは少量でかなり強い存在感があるので好きだ。不慣れな香りがしたがポルチーニ茸のものだろう。調べたが松茸やトリュフと同じイグチ科らしい。イグチ科は香り高いのだろうか。

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オニオンとガーリックのイタリアンフォカッチャ。説明そのまんまの、オニオンとガーリックの風味がする。ケーキのようなしっとり感だった。サイゼリアPascoで学んできたフォカッチャの味とミュンヘン空港で食べたフォカッチャ、イタリアで食べたフォカッチャ達、全て違うパンなのではというほどキャラクターが異なる。ホンモノのフォカッチャってなんなんだ…。
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1品目がようやく運ばれてきた。直訳だが、生のイタリアンビーフラディッシュオイスターソースらしい。牛肉は細かくされていてユッケのような食感であった。フリーズドライと素揚げの2種類でパリパリにされたラディッシュの葉の花びらを開いていく。オイスターと聞こえたがソースの中にオイスターは感じなかった…

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2品目はフィッシュ(金目鯛)のグリル、3層の焼き加減、モッツァレラとザクロ、エビ(味噌)のソースである。カッコ内は聞き取れなかったが、僕の舌の経験から補ったものである。ソースの海にダイブしそうな盛り付け方が楽しい。金目鯛は皮がわから恐らく揚げ焼きのようにされている。鱗がパリパリに立っていたからだ。中間層がミディアムレアで外層がレアだろうか。ナイフスキルが低いので、バラバラにしかけつつ口に運ぶと3種類の食感が一度に楽しめる。ソースはエビミソとモッツァレラの濃厚さをザクロが上手く取りまとめていた。味の情報量が非常に多い料理だったが、料理は味が複雑であればあるほど美味い気がする。
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箸休め的にまた1口料理が出てきた。貝のレバークラッカー、ベリーソースである。貝のレバー、日本以外でも食べるんだ…。なんのレバーかなんてわかるはずもなく終了した。レバーとフルーツソース、結構いいかもしれない。クラッカーは薄焼きせんべいの食感だった。

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談笑しながらパンを食べていると、テーブルの前に何かが置かれた。ローマの夜景の解説のようだ。完全なサプライズで嬉しい。本物の夜景と照らし合わせていくのが楽しい。

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3品目、シーフードマッシュルームパスタ。あ、パスタきたと思ったが、パスタのように切ったマッシュルームと言われた。料理名、Sea and Mountain らしい。ソースはオイル系でやはりオリーブの濃厚な香りがする。海鮮は、エビ、ホタテ、イカである。軟体系海鮮とキノコのシャキシャキが支配する食感料理だった。

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4品目、今度は本当にパスタが出てきた。撮り損ねたが、配膳された時は蓋の中に煙が閉じ込められてスモークされていた。炭火の煙だ。シーフードフジッリ。また海鮮だったが、今度は生と火の通ったものの2種類が入っていてかなり楽しめた。まさかパスタの中に刺身が入っているとは思わなかったので、かなり不意打ちであった。こちらもオイルソース。フジッリはかなり硬めに茹でられていた。僕が好きな茹で加減だ。炭火の香りがするパスタは初めてだった。
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ここでグラスが回収され、形の違うグラスが置かれ、赤ワインに変わった。かなり辛口だったが、渋みは少なく、香りを感じやすいワインだ。

それから5品目、運ばれてきた瞬間に不意打ち的にタバコの匂いがした。元喫煙者なので瞬間的に分かった。間違いなくタバコだ。足つきでインパクト大のこの料理は、タバコ葉でスモークしたハトのグリル、カカオソースがけである。ハトは初めて食べる。焼き加減はレアで、ハト特有の?獣臭さが残るものの、カカオの苦味が打ち消してくれている。そこにタバコの香り。かなり大人の味だった。ワインとの組み合わせも良く、これまでの人生で食べた料理で1番の評価をしたい。

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メインが終わると、また箸休めが。ハトのレバーチョコレートである。鶏レバーの濃厚なペーストをビターチョコレートコーティングしてある。冷たいので口に入れるとかなり面白い。それにしてもここのシェフ、かなり苦味を得意としている。
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強烈なレバーチョコレートの後には、お口直しとしグレープフルーツジェラートが運ばれてきた。ジェラートと言われたが、普通に美味しいグレープフルーツシャーベットだった。

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6品目のデザートが運ばれてくるまでに、次のワインが準備された。デザートワインである。人生初のデザートワイン。食後酒的ポジションではなく、デザートと共に飲むらしい。かなり冷やされていて、強烈に甘かった。なんと表現すればいいのかわからない。困った。サングリアや白ブドウジュースが最も近いが、全く別物である。極甘口貴腐ワインというやつだろうか。今度デザートワインを買ってみようかと思った。多分女子が大好きだ。アイスクリームと合わせても負けない糖度を持つ。

6品目は、カボチャアイスのゴールデンリーフミルフィーユ、バニラソースとワイルドベリーである。食べる直前にバルサミコ酢をかけてもらった。1980年代のもので、スポイトで数滴垂らしてもらった。このバルサミコ酢だが、熟成が進みかなり独特な風味を纏っていた。苦手な人が多いかもしれない。これだけ甘々続きなのに、バニラソース、アイスクリーム、デザートワインそれぞれがしっかりと住み分けている。これだけ完成度の高い甘味には初めて出会った。
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食後にエスプレッソとお菓子類が出された。オレンジ、マカロン、ドーナツ、ジャンドゥーヤ、チョコレート、クッキー。ドーナツにはチョコレートとバニラソースが添えられている。オレンジはかなり甘くて驚いた。そういえば地中海はオレンジが有名だったような気もしてきた…。この時点でかなり酔いが回っており、あまり記憶の精度が良くない。さらには、デパ地下で買えそうとまで思ってしまったのであった…。

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