古田の戯言

気が向いた時に

2/27 6日目 ドイツ(エルディング)

初日のミュンヘンと同じホテルで朝食を済ませたあと、空港近くのホテルへチェックインし、少し離れたエルディングという街に来た。空港からバスで30分ほど。更に歩いて15分といったところにテルメエルディングというテーマパークがある。ここで遊ぶためだけに、はるばるエルディングまで来たのだ。広大なヌードエリアを有するこの施設との出会いは、ヨーロッパとか温泉あるのかな…入りたいな…という軽い気持ちで「ドイツ 温泉」と調べた結果である。ヌーディズムというより、ドイツは温泉は混浴という文化らしい。北欧のサウナと同じ。

写真撮影はもちろん禁止なのでこの日の写真はほとんど残っていない。入口だけである。

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テルメエルディングはヨーロッパで2番目、ドイツでは最大のプール施設であり、35種類のサウナ、27種類のウォータースライダー、34種類のプールがある。らしい。エントランスホールはかなり複雑な作りをしているのだが、①全年齢、水着着用のプールエリアのみのゲート、②全年齢、水着着用のスパエリアとヌードエリアに入れるゲート、③全年齢、水着着用のプールエリアとヌードエリアに入れるゲート、がある。ヌードエリアは16歳以上入場可能。大学生っぽい男女グループやファミリーは真っ直ぐ①のゲートへ向かっていった。②、③へは2人組、カップル、夫婦ばかりが吸い込まれていく。

 

早速と思った時にコロナ関連の連絡が沢山入っていたことに気づき、中に入るとスマホがイジれなさそうだったのでエントランスホールでしばらく対応した。代理で電話連絡などしてもらった友人たちには感謝したい。

 

ひと段落ついた後、早速③のゲートで入場手続きをした。サウナではおしりにバスタオルを敷かなければならないのでレンタルした。デポジットで一時的に100€くらいだったか…、を取られるが、ちゃんと返せば返金される。1日コースで51€だったと思う。水着エリアだけだと10€くらい安い。ロッカールームの番号が書かれたリストバンドを受け取り、更衣室に向かうよう指示される。エリア内にはレストランからバー、マッサージルーム、ホテルまであり、エリア内ではリストバンドを機械にかざすことで支払いを記録する。延長料金を含め、帰る際に精算される。大江戸温泉物語のようだ。

エントランスを抜けるとまず、更衣室があまりにも広い。水着エリア用の個室がずらりとならんだエリアを抜けると、ヌードエリア用のロッカールームがあるが、なんと(当たり前だ)全て男女共用らしい。本当にここで脱いでいいのか?というドキドキ感と共に、トイレに行くんだ的顔をして周りの人を観察しながら歩いてみた。おじいちゃんが全裸で歩いており、あ、温泉かな?となった。その隣を服を着た女性がモップがけをしている。違和感。自分達のロッカーに戻る際に全裸の男女を見てしまい、とんでもない所に来たと恐怖を感じ始めた。とりあえず荷物をロッカーに押し込み、10分くらいかけて恐る恐るタオルを巻いた銭湯スタイルになった。一応水着を持ってきたのだが結局水着エリアには入らず、着用していない。何故かエリア内はアナログなコインロッカーが置かれていたが、ほとんどの人は使用せず、近くの棚に置きっぱなしにしていたのでそれにならった。1日放置しても盗まれなかったのでかなり治安はいいと思われる。

ヌードエリアに入ると、これまでのどんな光景よりも異文化にどっぷり浸かっている感覚を覚えた。正直、初めて某国のショーウィンドウ式風俗街に行った時よりもショックが大きかった。ヌーディズムを理解するのは難しい。なぜ隠さないのか……。しばらくは全員すっぽんぽんのナガシマみたいな空間に気圧されていた。といっても、3割くらいはタオルで前を隠し、歩き回っていた。前は隠すが尻が丸出しだったり、片乳が出ている、何となく隠しスタイルだ。これを見た僕は完全に安心し、悠々と振る舞う勇気を得たと同時に、こんな体験が出来て良かった、という高揚感も得た。のだが、あまりにも全員が全員アンダーヘアケアが完璧なので、ドレスコードを乱しているような変な気恥しさを覚えた。何事も初動はかなりのエネルギーを要するもので、タオルをプールサイドのフックにかけ、防御力0状態で水の中に入るまでが非常に長く感じた。

水の中に入ってしまえばこっちのもので、揺らめく水面からは何も見えないので安心だ。驚いたことに水がしょっぱい。なるほど、長時間入っていても手足がふやけないようになっているようだ。水温は30℃といったところか。ヌードエリアのプールは基本ゆったりしていて、ウォータースライダーのような派手なものはないが、なんとプールの各所にバーがありお酒が飲める。バー周辺では全員がビールや南国風のカクテルを片手にぷかぷか浮かびながら談笑している。もちろんビールはErdingerであった。周りを観察する余裕が出てきたのでじっくり見渡してみたが、年齢層、男女のバランスは非常に良い。というか、後で知ったのだがドイツは16歳からお酒が飲めるらしい。高校生くらいの若者もたまに見かける。日本人が幼く見える理由を垣間見た気がした。

外のプールは流れるプールゾーンがあり、多くのカップルが熱烈に絡み合っていた。一緒に流されていると色んなものとぶつかる。ご想像にお任せしよう。諸事情で一時的にジャグジーゾーンの泡の中で精神統一を果たし、陸に上がることにした。日が落ちてからも行ったが、夜の流れるプールはもっとピンク色な雰囲気になる。ナイトプールを思い出した。行ったことないけど。ナイトプールなんて可愛いもんだなと、心の中でよく分からないマウントを取ることもできる。

かなり長い時間プールにいたが、次にサウナゾーンへと向かうことにした。サウナゾーンは前述したがタオルを自分の体の下にしくことで汗エチケットとする。男女問わず寝そべる人も多く、面白い景色を見ることができる。岩塩サウナ、動物の鳴き声が聴こえる森のサウナや、一定時間ごとに部屋中央の岩からお湯が噴出するサウナなど、様々なコンセプトのサウナがある。個人的にアロマサウナが気に入った。アロマサウナは50度くらいの温度なので癒されながら長居することが出来る。サウナゾーンでは、何度かスタッフがイベントを催してくれる。ビールを配ったり発汗作用のある薬液を配ったり様々だ。アロマサウナでロウリュ(アロマ水を焼石にかけるやつ)を狙っていたのだが、色んなサウナを楽しもうと頻繁に移動をしていたため、運悪く1度もイベントに当たることが出来なかった。(電光掲示板でイベントスケジュールを確認出来ることを後で知った)。

夕食もここで済ませることにした。ビールとハンバーガーを注文した。公共の場で全裸で食事するなど生まれて初めてであった。リストバンド"ピッ"システム、やはり楽である。チップとかないし。ハンバーガーを食べていると水着エリアからバンド演奏が聴こえてきた。水着を着るのもだるかったので行かなかったが…。筒ビート板みたいなものを体に巻き付けて静寂の中プカプカ浮くプールでダラダラと過ごした後、今日見た光景を振り返りながら帰路に着いた。帰りは暴風雨という試練だった。

ちなみに1日で、孤独な日本人中年男性1人と日本人女子大生グループを見かけた。お互いたぶん日本人だと気づいていたと思う。男には警戒心を、女子大生には気まずさを感じた。