古田の戯言

気が向いた時に

ワインの世界

※昼から飲んで気分が良くなったので筆を取ったということを念頭に入れて読んで欲しいです。


最近、僕の興味はワインに注がれている。大学在学中はワインと言えばメニューに白、赤としか書かれていないものを飲み会でデキャンタやグラスで頼む程度で、手軽に酔いの快楽に誘う醸造酒の一つに過ぎなかった。そんな僕がワインに目覚めたのには2つの理由がある。


1つめはレストランでのワインペアリング体験である。2月の卒業旅行でビールに焦点を絞り、ドイツ各地の醸造所のビールを飲み漁ったのだが、3ヶ国目のローマの1つ星レストランではせっかくだからという理由だけで、かなり背伸びをして1つ星レストランを予約した。生涯で間違いなく1食に費やす値段が最も高かった一夜であったが、さすがに素人の僕でも食の奥深さ、ワインの深淵とそれらのマリアージュをソムリエとシェフから感じ取ることができた。僕はこの夜、美味しいというよりかは、楽しいという感情に満たされた。ビールと揚げ物、日本酒と和食。そこに新たにワインと洋食という組み合わせの楽しさを知ることが出来た。料理とワインが提供される度に説明が入るのだが、その儀式のせいで、食事というよりかは芸術作品に向き合うような気持ちにさせられた。

6年ほどしか酒を嗜んでいない若者の戯言と取られるかもしれないが、ビールにはそういった繊細さはない。(もちろん、それがいい所ではある)。そして、日本酒に関しては(ここでは多くを語らないが)空気を読むという日本の文化や歴史的背景も相まって、中途半端な印象を受ける。しかし、ワインは違う。その繊細さや王侯貴族の歴史、種類の豊富さなど、こちらが中途半端な気持ちで臨めば圧倒されるほどのパワーやバラエティを秘めた世界が広がっていることを、その夜感じたのであった。

 


2つめは、彼女の実家で父親にもてなしてもらったことである。その日は僕にとってとにかくショックの大きな1日であったのだが、その1つがワインであった。ワインを慣れた手つきで抜栓し、よく分からない機材を駆使して注がれるワインを恐怖に感じた。酔いが進むにつれ、それは楽しさに変わっていくのではあるが、それに伴う所謂"ウンチク"と呼ばれるものが苦痛であった。何を言っているのか全く分からないし、なによりその味の偉大さが理解できない自分を恥じてしまった。


これら2つの経験、ワインの奥深さと未知な自分への悔しさが合わさって現在ワインの沼に足を沈めている次第である。ワインの魅力はもう一度言うが、その深淵さにある。中途半端な気持ちで臨めば圧倒される偉大さにある。だからこそ勉強が必要であり、経験が必要なのだ。造り手、天候、畑による違いは大工場で大量生産されるビールには無いものであるし、ソムリエのような存在がいない日本酒は料理とのマリアージュが中途半端で惜しいと感じる。


ワインは間違いなく生涯をかけて楽しめる1つの趣味となると思う。ブランド的な悪い面もあり、お金はかかってしまうが、その面白さは保証したい。